
訪問看護への転職や働き方を考えるとき、「オンコールって大変そう…」と不安に感じる方も多いのではないでしょうか。
私自身も、訪問看護で働く前は
「夜中に何度も呼ばれるのかな」
「休日も気が休まらないのかな」
と具体的な仕事のイメージが湧かずドキドキしていました。

でも、実際に担当してみると、想像していたのとは違う部分もたくさんありました。
そこでこの記事では、私がオンコールを担当してきた経験をもとに、仕事内容や流れ、実際に感じたことを経験者目線でお伝えします。

▽この記事を書いた人
看護師あざらし|現役看護師
✅急性期病院・訪問看護歴
✅看護師単発バイトで20か所以上勤務
✅実体験をもとに働き方・役立つ情報発信
この記事を読めば、オンコールの実際の様子が分かり、自分に合った働き方やステーション選びのコツが見えてきます。
この記事でわかること
✅訪問看護のオンコールについて
✅実際の仕事内容
✅オンコール対応で大変なことや本音
✅具体的な対応頻度や呼び出しの内容
✅オンコールに向いている人/不安な人の対策・職場選びのコツ
訪問看護のオンコールとは?
訪問看護のオンコールとは、利用者さんの急な体調変化や相談に24時間365日対応できるよう、看護師が当番制で待機する勤務体制のことです。
オンコール中は専用携帯を持って待機し、電話相談・緊急訪問・医師への連絡などを行います。
日中だけでなく夜間や休日にも対応できる体制を整えることで、在宅生活を継続しやすくしています。
参考文献 厚生労働省:どんなサービスがあるの?訪問看護 全国在宅医療マネジメント協会:オンコール対応とは?準備から対応まで徹底解説!
オンコールの役割
訪問看護のオンコールは、利用者さんやご家族が不安を感じたときや、体調が急変した際でも在宅で必要な看護を受けられるようにするための大切な体制です。
また、体調の変化に早く対応することで、症状の悪化や不要な救急搬送・入院を防ぐ役割も担っています。

オンコールの流れ
オンコール当番の日について、当番から終了までの1日の流れをご紹介します。
- 日勤終了後、オンコール当番がスタート
訪問業務を終えたあと、そのままオンコール用のスマホを持ち帰宅します。「状態変化が予測される利用者さん」を頭に入れておきます。 - 携帯電話(オンコール用端末)を持ち歩く
いつでも電話に気づけるように、携帯を近くに置いておきます。 - 連絡が入ったら状況を確認
電話が鳴ったら、まずは慌てず状況をヒアリング。当番日だけはiPadを持ち帰り、カルテを確認できます。症状や経過を確認しながら、緊急性を判断します。 - 必要な対応を行う
電話でのアドバイスで様子を見てもらう場合もあれば、緊急訪問が必要な場合もあります。訪問が必要と判断したら、身支度をして向かいます。 - 対応後は記録・報告
訪問した場合もしなかった場合も、対応内容は必ず記録に残します。医師への報告が必要なケースでは、その場で連絡を取ります。 - 翌朝、通常業務のスタッフへ引き継ぎ
翌営業時間になるとオンコール当番終了です。夜間の対応内容は、翌日の担当スタッフやケアマネージャーなどに申し送りをします。
このように、オンコールは「電話を待つだけ」ではなく、訪問が必要かどうかを判断します。
だからこそ最初は不安を感じやすいと思いました。

オンコールではどんな対応をする?
オンコール中の対応は、大きく分けて
「電話相談」「緊急訪問」「看取り対応」
の3つに分けられます。
それぞれどんな内容なのかまとめました。
電話相談
オンコールの対応でも多いのが、電話での相談です。
「熱が出たけど受診した方がいい?」
「薬を飲み忘れてしまった」など
内容はさまざまです。
電話口で状況を詳しく聞き取り、そのまま様子を見ても問題ないと判断できれば、対処方法をお伝えして様子を見ていただくこともあります。
「意識がない」など緊急性が高い場合は、救急要請をご家族にお願いします。
「とりあえず看護師の方に聞けて安心した」と言っていただけることも多く、
電話対応だけでもご家族の不安を和らげられる場面はたくさんあります。
(実際の例として・・・)

「下痢をしたんだけど、何を食べたらいい?」

「お辛いですね。お熱や吐き気はありますか? お腹は痛みますか?便の色など……熱もなく落ち着いているなら、まずは一口ずつ水分を摂って様子をみましょう。
食べられそうなら、うどんやおかゆなどを少し食べてみてもいいかと思います。
明日、担当の看護師からも様子を伺う電話を入れますね。もし状態が変わったり不安になったら、いつでもまた電話してくださいね
質問を重ねて緊急性がないか確認し、「明日もフォローします」「いつでも連絡して大丈夫ですよ」と伝えることで、ご家族も安心してひと晩様子を見られるケースもありました。

緊急訪問
電話だけでは判断がつかない場合や、実際に状態を確認する必要があると判断した場合は、緊急訪問を行います。
「いつもと比べて様子がおかしい」「転倒して動けない」といった、利用者さんの状態を直接確認する必要があるケースが中心です。
訪問後は必要に応じて主治医へ報告し、指示を仰ぐこともあります。
夜間の訪問は身体的にも負担がありますが、「行ってよかった」と思える場面も多く、訪問看護ならではのやりがいを感じる部分でもあります。
(実際の例として・・・)

夜の21時頃、「家族が尻もちをついてしまい、自力でベッドに戻れなくなった」と連絡が入ったことがあります。
外傷や打撲の有無、バイタルサインを確認。
怪我や異常がないことを確認した上で、ご家族と一緒に安全を確認しながらベッドへ移乗しました。
1人では抱えきれず困っていたご家族からは、
「夜中に来てくれて本当に助かりました」と深く感謝されたことも。
看取り対応
私の経験では、オンコール対応の中でも緊急訪問につながることが多かったのは看取り対応でした。
利用者さんやご家族に対しては、日頃の訪問看護や主治医から「今後どのような状態変化をたどるか」を事前に説明されていることがほとんどです。
そのため、ご家族も心の準備を進めながら、変化があった際には落ち着いて連絡をくださることが多いと感じました。
また、看護師側も日中のスタッフから「今夜変化があるかもしれない」と申し送りを受けているため、あらかじめ対応をシミュレーションして待機することができます。
💡 実際の看取り対応の流れ
- ご家族からの連絡:「息が止まっている」「反応がない」といった連絡が入ります。
- 主治医への連絡:状況を報告し、医師に死亡確認の訪問を依頼します。
- エンゼルケア:医師による死亡確認後、訪問しご家族のご希望に合わせて清拭や整容、お気に入りのお洋服へのお着替えをお手伝いします。

「家で看取れてよかった」
「夜中に来てくれて本当に心強かった」
と感謝されることも多く、大変ですが大きなやりがいを感じる場面でもあります。

オンコールはどれくらい大変?
「オンコールって実際どれくらい大変なの?」というのは、経験してみないとわかりにくい部分だと思います。
ここでは、私が感じた大変さを3つの視点からお伝えします。
電話が鳴るか分からない緊張感
オンコールの大変さの一つは、「鳴るかどうかわからない電話を待ち続ける」こと自体が負担になるという点です。
鳴っていない間も「もし今かかってきたら」と気を張っている状態が続きます。
最初の頃は、着信はないのに、着信音が聞こえた気がしたこともありました。

結果的に、電話が1件もかかってこなかった日が多かったです。
だから最初の緊張感は、経験を積むうちに少しずつ薄れていきました。
事業所にもよると思いますが、電話がかかってくる頻度は高くないのだと分かってからは、割り切って過ごせるようになりました。
夜勤とは違う疲れ方
オンコールは夜勤と比較されがちですが、疲れ方の種類が異なります。
オンコールは自宅にいながら気を張る精神的な疲労が大きいと感じています。電話で呼ばれたときの切り替えが少し大変でした。
しかし、自宅にいて好きなことができるのはオンコールのメリット。
私にとっては、夜勤入り前の憂鬱な時間が無くなり、自宅で待機しながら手当が支給される点はありがたかったです。
ステーションによって大きく違う
オンコールの大変さは、ステーションの体制によって大きく差が出る部分でもあります。
私が働いていたステーションでは、オンコールは2人体制だったため精神的な負担は軽減されていると感じていました。
一方が電話に出られないときは、もう一方が対応する体制でした。
また、夜間に出動があれば、その分翌日の出勤時間をずらして働ける仕組みがあり働きやすかったです。
一方で、1人でオンコール対応の場合は負担が大きいと聞くこともありました。
同じ「オンコールあり」の求人でも、実際の大変さは事業所によってかなり違うというのが実感です。
転職先を検討する際は、当番の頻度だけでなく、
「困ったときに相談できる体制があるか」まで
確認しておくと安心だと思います。

オンコールの頻度は?
「オンコールってどのくらいの頻度で回ってくるの?」というのも、転職を考える方がよく気になるポイントだと思います。
ここでは「当番回数」「出動回数」「ステーション規模による違い」に分けてお伝えします。
当番回数
オンコール当番の回数は、ステーションの体制やスタッフ数によって変わりますが、月に4〜8回程度を目安にしているところが多い印象です。
私が勤めていたステーションでは、月に8回程度のペースで当番が回ってきていました。
オンコールを担当できない日も遠慮なく申告できる雰囲気だったので、プライベートへの影響は少ないと感じました。
スタッフ数が増えるほど1人あたりの当番回数は減るため、「オンコールの頻度」は転職先を選ぶ際にぜひ確認しておきたいポイントの一つです。
出動回数
実際には当番の日でも連絡が一切ないことも珍しくありません。
私の体感では、当番のうち実際に電話がかかってくるのは8回の当番のうち2回程度。
そのうち緊急訪問が必要になるケースはさらに一部でした。
「電話相談だけで対応が完結する日」の方が多かった、というのが正直な印象です。
日中の訪問で、夜間に起こり得る症状や対処法をあらかじめ説明していたため、電話相談だけで対応できるケースも多くありました。
そのおかげで、利用者さんやご家族の不安が減り、看護師の負担軽減にもつながっていると感じました。
ステーション規模で違う
オンコールの頻度は、ステーションの規模によって大きく変わります。
- 小規模ステーション:スタッフ数が少ないため、一人あたりの当番回数が多くなりやすい
- 大規模ステーション:オンコール担当をチーム制にしていることが多く、一人あたりの負担が分散されやすい
- 2名体制を導入している事業所:一次対応で判断がつかない場合のみ管理者などにつなぐ仕組みがあり、新人や経験の浅いスタッフの負担が軽くなるよう工夫されているところもあります
転職先を検討する際は、当番回数だけでなく、「体制がどうなっているか」もあわせて確認しておくと、入職後のギャップを減らせると思います。

オンコールが不安な人へ
ここまで読んで、「自分はオンコールに向いているのかな」と気になった方もいるかもしれません。
最後に、私が実際に対応してみて感じた、向いている人・不安を感じやすい人の傾向をお伝えします。
オンコールに向いている人
- 切り替えが得意な人
何もない日と忙しい日の差が大きいため、「鳴らなかったら気にしない」と切り替えられる方は、精神的な負担を感じにくい傾向があります。 - 利用者さんやご家族との関係性を大切にしたい人
電話越しでも、日頃の関わりがあるからこそ安心してもらえる場面が多く、それにやりがいを感じられる方には向いていると思います。
私のステーションでは、オンコール対応が必要になりそうな利用者さんの情報や対応方法をスタッフ全員で共有していたため、不安は軽減されていました。
不安な人・向いていないと感じやすい人
- 一人で判断することに強い不安を感じる人
特に経験の浅いうちは、「これで合っているのかな」という不安を感じやすい場面もあります。 - プライベートと仕事の切り替えを重視したい人
オンコール中はどうしても「完全にオフ」の時間が減るため、休日の過ごし方を大切にしたい方には負担に感じられることもあります。
ただし、これらはあくまで「傾向」であって、「向いていないから絶対に無理」というわけではありません。
私自身も最初は不安でしたが、経験を重ねる中で少しずつ慣れていきました。
ステーションによっては新人がいきなり一人でオンコールを担当することがないよう、フォロー体制が整っているところも多くあります。
「自分に向いているか不安」という方こそ、転職の際にフォロー体制や相談できる環境が整っているステーションかどうかを確認してみることをおすすめします。

よくある質問
Q オンコールは毎日呼ばれる?
A. いいえ、毎日ではありません。オンコール当番の日であっても、実際に電話がかかってこない日も多くあります。ただし「いつ鳴るかわからない」という緊張感自体は当番中ずっと続きます。
Q 夜勤より大変?
A. 大変さの種類が違う、というのが私の実感です。夜勤は勤務時間中ずっと働きますが、オンコールは自宅で待機し、必要時のみ対応します。一方で、「いつ電話が鳴るかわからない」という精神的な負担を強く感じる人もいます。
Q 子育て中でもできる?
A. 可能ですが、勤務先の体制によります。実際に子育て中の看護師さんは、オンコールを希望日だけ担当したり、免除されていたりする方もいました。
オンコール回数を調整したり、免除制度を設けたりしている訪問看護ステーションもありますので求人や面接時に確認しておくと安心ですよ。
Q オンコールなしの訪問看護はある?
A. はい、あります。オンコール専門の看護師を配置している事業所や、日中のみの勤務を募集しているステーションもあります。
ただし、数は多くないため、求人内容や勤務条件をよく確認するのがいいと思います。
Q オンコール手当は?
A.こちらの記事で解説しています。参考にどうぞ。
まとめ
今回は、訪問看護のオンコールについて、仕事内容や流れ、大変さ、向いている人の傾向まで、経験者の視点からお伝えしてきました。
オンコールと聞くと、「夜中に何度も呼ばれるのでは」「休日も気が休まらないのでは」と不安に感じる方も多いと思います。
実際、電話が鳴るかわからない緊張感や、夜勤とは違う精神的な疲れは、オンコールならではの大変さと言えます。
一方で、当番だからといって毎回呼ばれるわけではなく、電話対応だけで完結するケースも多いこと。そしてステーションの体制によって負担の大きさが大きく変わることも、実際に経験してみて感じた部分です。
大切なのは、「オンコールがあるかどうか」だけでなく、どんな体制で運用されているかを事前に確認することだと思います。
フォロー体制や相談できる環境が整っているステーションであれば、経験が浅くても安心して取り組めるはずです。
また、求人票だけでは分からないことも多いため、面接時にオンコールの体制や出動頻度について確認しておくと安心です。
この記事が、訪問看護への転職やオンコールへの不安を少しでも和らげるきっかけになれば嬉しいです。

