
私自身、訪問看護と訪問入浴の両方を経験しましたが、
同じ「在宅で関わる看護」でも、仕事内容や、やりがいは大きく違うと感じました。
訪問看護は「医療的ケアや生活を支える仕事」1対1で関係を築いていく信頼関係を感じました。
一方、訪問入浴は「3人チームで安全に入浴介助を行う仕事」利用者さんの笑顔を直接見る喜びがありました。
どちらが向いているかは、じっくり寄り添いたいかチームで働きたいかで変わってきます。
そこで本記事では、訪問看護と訪問入浴の両方を経験した現役看護師の視点から、それぞれの仕事内容や必要なスキル、リアルな違いを徹底比較しました!

▽この記事を書いた人
看護師あざらし|現役看護師
✅急性期病院・訪問看護歴
✅看護師単発バイトで20か所以上勤務
✅実体験をもとに働き方・役立つ情報発信
訪問看護と訪問入浴の違い【比較表】
| 項目 | 訪問看護 | 訪問入浴 |
|---|---|---|
| 目的 | 療養生活の支援 | 入浴サービスの提供 |
| 訪問人数 | 基本1人 | 看護師1人+介護職2人 |
| 対象 | 在宅で継続的な療養が必要で、主治医が訪問看護の必要性を認めた人 | 自宅で入浴が難しい要支援、要介護者 |
| 仕事内容 | 健康管理・医療処置 | 入浴介助・状態観察 |
| 判断 | 1人で訪問 | 3人1チームで訪問 |
| 関わる時間 | 30〜90分程度 | 1件約45〜60分程度 |

訪問看護の仕事内容
訪問看護は、看護師が利用者さんの自宅を訪問し、主治医の指示書に基づいて医療的ケアや生活支援を行います。
移動方法は軽自動車や電動自転車です。
主要な業務内容は大きく以下の4つに分けられます。
健康状態の確認
- バイタル測定
- 病状観察
- 生活状況の確認
医療処置
- 点滴
- 褥瘡ケア
- 吸引
- カテーテル管理など
- ターミナルケア
生活を支える看護
- 服薬管理
- ご家族への助言
- 多職種連携
多職種連携と書類作成
主治医への報告・連絡:定期的な「訪問看護報告書」「訪問看護計画書」の作成と提出
ケアマネジャーや他職種との情報共有:サービス担当者会議への参加や日々の連携

1回の訪問で成果を急ぐのではなく、
利用者さんやご家族のペースに合わせてじっくり長期的な関係性を築いていくことが特徴です。

訪問入浴の仕事内容
訪問入浴は、看護師1名と介護職員2名の3名チームで
専用の浴槽や機材を持ち込み、自宅での入浴が困難な利用者さんの入浴をサポートします。。
ヘルパーさんが運転する入浴車に乗り移動します。
主要な業務内容は大きく以下の3つになります。
1.入浴前後の健康チェック
- 血圧・体温測定
- 入浴可否の判断
2.入浴介助のサポート
- 皮膚状態の観察
- 身体の清潔保持
- 入浴後の処置
3.利用者さんとの関わり
- 入浴を楽しみにしている方が多い
- 清潔保持だけではなく楽しみや交流の時間になる

3名体制でまわるので、チームワークが大切です。
1回の訪問で利用者さんの変化が分かりやすく、その都度やりがいを感じられます。
訪問看護と訪問入浴を両方経験して分かった3つの違い
どちらも「在宅で利用者さんを支える」点では共通していますが、現場で求められるスキルは異なります。
訪問看護に必要な力
- アセスメント能力・観察力:バイタルサインや主訴だけでなく、住環境や生活リズム、ご家族の状況を含めて総合的に状態を考える力。
- 判断力・医療知識:状態変化があった際、主治医やケアマネジャーへの連絡・指示を含め、その場で適切に優先順位を判断する力。
- コミュニケーション力:医師、リハビリ職、ケアマネジャーなど多職種とスムーズに情報共有を行うコミュニケーション力。
訪問入浴に必要な力
訪問入浴では、「看護師1名+介護職員2名」の3名チームで素早く安全に業務を進めることが重要になります。
- チームワーク・協調性:決められた時間内で安全に入浴を完了させるため、介護スタッフと声をかけ合い、スムーズに連携する力。
- 観察力:着脱時や入浴時に、皮膚トラブルや体調の変化を観察する力。
- コミュニケーション力:入浴を楽しみにしている利用者さんやご家族に対して、安心して気持ちよくお風呂に入ってもらうためのコミュニケーション。
- 体力:機材の搬入・搬出や移乗など、体を動かす場面が多いため体力が必要。
訪問看護に向いている人
- 利用者さんの生活全体・寄りそいたい人:病気や処置だけでなく、「その人らしい暮らし」「ご家族のサポート」を含めて長期的に支えたい方向けです。
- アセスメント力を高めたい人:わずかな変化を見抜く観察力や対応力・連携スキルが身につきます。
- 一人ひとりとじっくりコミュニケーションを取りたい人:決められた時間内で1対1の関係性を築くことができます。
訪問入浴に向いている人
- 利用者さんと近い距離で関わり、笑顔や変化を実感したい人:「温かいお風呂に入れて気持ちよかった」「ありがとう」と、ケアの成果がわかりやすく伝わるため、その場でやりがいを感じられます。
- チームで協力して働くほうが安心・好きな人:訪問看護とは異なり、常に看護師1名・介護スタッフ2名の3名体制で動きます。「1人で訪問するのが不安」「チームでケアしたい」という方に向いています。
- 体を動かすことが好きで、体力に自信がある人:浴槽などの重い機材の搬入・搬出や、利用者さんの移乗など、体力を使う場面が多くあります。体を動かして働きたい人に向いています。
- ルーティン業務やマニュアルに沿った安全な作業が得意な人:1件あたりの流れ(バイタルチェック→搬入→入浴→処置→搬出)がある程度パターン化されているため、手順を守って安全かつ効率的にケアを進めるのが得意な方に適しています。

実際に両方経験して感じた違い3つ

私自身、実際にどちらも経験した中で
「仕事内容、疲れ方が大きく違うな」と感じた3つの違いをご紹介します。
1. 体力的なハードさの違い
訪問入浴はとにかく「体力仕事」です。
機材を担いで階段を上り下りし、入浴時には利用者さんの身体をしっかり抱えて移乗させます。
この仕事を経験してからというもの、違った業種ではありますが「引っ越し業者の方々」を心から尊敬するようになりました(笑)。
一方で訪問看護は、移動やケアの合間に身体を休めやすいため、体力的な負担はかなり違います。
2. 訪問入浴は「1回のケアで変化」が見える面白さがある
訪問入浴の大きな魅力は、「ケアの成果がその場で目に見えること」です。
お湯に浸かることで垢が落ち、表情が和らぐことがあります。
ご家族からも「綺麗にしてもらえてよかったね」と直接感謝していただけるため、
1回の訪問で大きな達成感を得られます。
訪問看護は長期的・継続的な変化を見守ることが多いため、
この「1回の訪問で感じる喜び」は訪問入浴ならではの面白さだと感じました。
3. 「看護師らしさ」の発揮どころが違う
- 訪問看護:医療処置やアセスメント、多職種連携など、臨床の経験を使うので「専門職としての看護師らしさ」を実感できます。
- 訪問入浴:医療手技そのものは少なく「安全安心に入浴するための医療職」としての役割が大きいです。清潔ケアが好きな看護師さんは、体を洗って綺麗になることを楽しめると思います。
よくある質問
Q. 訪問看護と訪問入浴、ダブルワークはできる?
A. 可能です。訪問入浴は単発バイト(1日単位)の募集も多いため、
訪問看護で常勤として働きながら、休日に訪問入浴の単発バイトに入る看護師さんも多くいます。
Q. 未経験やブランクがあっても大丈夫?
A. どちらも可能です。
訪問入浴は3人チームで行動しマニュアルがしっかりしているため、ブランクがある方の復職としても始めやすい傾向にあります。
まとめ
訪問看護と訪問入浴は、どちらも「利用者さんの在宅生活を支える」という点では共通していますが、役割や求められるスキル、現場での働き方は大きく異なります。
- 訪問看護が向いている人
- 生活全体や人生に長く寄り添いたい人
- アセスメント力を高めたい、主体的に動きたい人
- 1対1でじっくりコミュニケーションを取りたい人
- 訪問入浴が向いている人
- チームで声を掛け合いながら協力して働きたい人
- ケアの成果をその場で実感したい人
- 体を動かすのが好きな人
どちらが優れているということではなく、
「どんな看護を提供したいか」
「どんな働き方が心地よいか」によって選ぶべき道が変わります。
「まずは単発バイトで訪問入浴を体験してみる」
「訪問看護の同行体験に行ってみる」など、気になった方は体験してみてはいかかでしょうか。
参考記事
訪問看護師の1日の流れ|仕事内容・スケジュール・やりがいまで紹介【経験者が解説】
訪問看護はやめとけ? 向いている人・向いていない人を現実ベースで解説
参考文献・参考サイト
厚生労働省:訪問看護の現状と課題(PDF)
公益財団法人 日本訪問看護財団:訪問看護の基礎知識

