

もう病棟での看護がつらい。時間に追われるし夜勤も限界……。

「訪問看護への転職って実際どうなんだろう?」と悩む看護師さんは多いですよね。
毎日本当にお疲れさまです。

訪問看護は仕事内容だけでなく、人間関係や働き方もかなり違います。
「自分に向いているのかな?」
「病棟より楽なの?」
「給料はどうなの?」「オンコールは大変?」
と気になることも多いはずです。
私は病棟で4年間勤務したあと、約2年間訪問看護を経験しました。
実際に働いて感じた違いを、良い面・大変な面の両方から比較していきます。

▽この記事を書いた人
看護師あざらし|現役看護師
✅急性期病院・訪問看護歴
✅看護師単発バイトで20か所以上勤務
✅実体験をもとに働き方・役立つ情報発信
この記事を読めば、訪問看護と病棟での働き方の違いが分かり働き方がイメージできます。
この記事で分かること
✅病棟と訪問看護の違い
✅ メリット・デメリット
✅向いている人
✅転職前に知っておきたいこと
病棟と訪問看護の違い【一覧】
| 比較項目 | 🏥病棟 | 🏠訪問看護 |
|---|---|---|
| 勤務場所 | 病院 | 利用者宅 |
| 看護人数 | 1対7など複数 | 基本1対1 |
| 夜勤 | あり | オンコール |
| 残業 | 多め | 少なめ |
| 人間関係 | スタッフ中心 | 利用者・家族中心 |
| 急変対応 | スタッフが近くにいる | 管理者等に相談 |
| 医療処置 | 多い | 生活支援も多い |
| 記録 | 病院システム | タブレット・PC |
| 移動 | なし | 車・自転車 |
| やりがい | 急性期看護 | 生活を支える看護 |
①仕事内容
医療の目的と役割の違い

病棟は「病気を見る看護」
訪問看護は「その人の生活を見る看護」という違いがあります。
| 🏥病棟 | 🏠訪問看護 |
|---|---|
| 治療のための看護 | 生活を支える看護(ケア) |
| 病気の回復や退院を目指し、点滴・検査・処置など診療の補助が多い。 | 利用者さんが自宅でその人らしく暮らせるよう、療養生活やセルフケアの指導・自立支援を支えることが多い。 |
病棟では、治療を優先しながら病気の回復や退院を目指します。
患者さんの治療のために入院中の看護を考えることが多いですね。
しかし、訪問看護では「住み慣れた家で安心して暮らし続けること」が大きな目標です。
訪問ではより、生活背景まで考えるようになりました。利用者さんの家の構造や生活動線、食事についてなど考えます。
どちらも看護師の大切な役割ですが、病棟は「治すための看護」、訪問看護は「生活を支える看護」という点が大きく異なります。
②忙しさ
🏥病棟:1対多の「スケジュール管理型」
●複数を同時に看る: 日勤帯であれば1人で数人〜十数人の患者さんを受け持ちます。
●時間に追われる働き方: 点滴の時間、検温、検査出し、入退院の対応、ナースコール対応などが重なるため、常に優先順位をつけながら分刻みで動く必要があります。
🏠訪問看護:1対1の「時間内完結型」
●目の前の1人に集中: 基本的に1回30分〜90分といった決められた訪問時間です。
その利用者さんとご家族のためだけに時間を使います。ナースコールに中断されることなく、じっくりと向き合えます。
●個別性の高い看護: 病院のように物品や設備が整っていないことも多いです。
そのご家庭にあるもの工夫して(例:洗面器やペットボトルをケアに活用するなど)ケアを行う臨機応変さが求められます。

病棟は時間との勝負。訪問看護は決められた時間で看護。
③人間関係
🏥病棟:医療スタッフ中心
多職種や多くの看護スタッフとチームで動くため、院内の人間関係の構築やコミュニケーションが円滑な業務に直結します。
しかし、シフト勤務のため、話しかけやすいスタッフがいる日は仕事がやりやすかったです。
日によっては、苦手な上司と関わらないといけないというストレスはありました。
🏠訪問看護:利用者・家族中心

人間関係のストレスは病棟より減りました。
「他人の家にお邪魔する」という立場になるため、礼儀や訪問マナーが重視されます。
また、病気だけでなくその人の「人生観」や「家族の介護負担」にも深く寄り添うコミュニケーションが必要でした。
一緒に働くスタッフは穏やかな方が多く、利用者さんの情報などもスムーズに話せました。

④給料
| 🏥病棟 | 🏠訪問看護 |
|---|---|
| 夜勤手当で収入アップ | オンコール・訪問件数で収入アップ |

基本給に大きな差はなくても、「なにで稼ぐか」が大きく違います。
🏥 病棟:夜勤手当・残業がある
病棟では、夜勤手当が給与の大きな割合を占めます。
夜勤を月4~5回行うことで、年収アップにつながります。また、残業も多く残業代もあります。
そのため、夜勤の有無、残業時間で収入が大きく変わります。
🏠 訪問看護:オンコール対応・インセンティブ
訪問看護は基本的に日勤勤務です。
その代わり、オンコール手当や「訪問件数に応じた※インセンティブ」を導入している事業所が多く、頑張った分だけ収入につながる仕組みがあります。
※インセンティブ・・・頑張った分だけ収入につながる仕組みがあります(例 1ヶ月の訪問件数が90件を超えたら、1件あたり〇〇円支給など
ステーションによっては、病棟勤務と同程度、あるいはそれ以上の年収を目指せる場合もあります。

「訪問看護=給料が下がる」と思われがちですが、給与体系はステーションによって大きく異なります。
そのため、転職時は基本給だけでなく、
オンコール手当やインセンティブの有無まで確認するのがおすすめです。
参考資料
- 厚生労働省「賃金構造基本統計調査」https://www.mhlw.go.jp/
- 日本看護協会「病院看護実態調査」 https://www.nurse.or.jp/
- 厚生労働省「訪問看護の現状と今後の方向性」
⑤体力

「訪問看護=日勤だけだから体力的には楽」と思われがちですが、
実際には「病棟とは疲れるポイントが違う」というのが現実です。
🏥 病棟
●1日中ノンストップで動く:ナースコール対応、検温、処置などで、広い院内を何キロも歩き回ります。
●休憩時間の確保:忙しい日は休憩時間もままならないこともあります。
病棟では夜勤1回で10㎞以上歩くことも・・。
🏠 訪問看護
●移動による負担: 自転車や軽自動車を使って、1日に4〜6件の利用者宅を回ります。
運転による疲れや、階段の上り下り(エレベーターのない団地など)が意外と足腰にきます。
●天候に左右される:真夏の猛暑、真冬の極寒、雨や雪の日であっても訪問します。
自転車の場合はカッパに長靴で訪問します。真夏は暑さ対策必須です。
●一人での介助: 狭いお風呂での入浴介助や更衣など、基本的に1人で介助を行うためのコツや体力が求められます。
訪問看護は、病棟のように「1日中立ちっぱなし」ということはありませんが、移動そのものや外の環境が体力を削る要因になります。

院内のドタバタした忙しさがツラい人は訪問看護。
外回りの移動や天候の変化がニガテな人は病棟が向いているかもしれませんね。
⑥精神的負担
「どちらのほうが精神的に負担」かはその看護師さんの性格や得意・苦手によって180度分かれます。
🏥 病棟
病棟での精神的負担は、密な人間関係や、常に何かに追われる環境があります。
●常に監視されている感覚: 先輩看護師、医師、他職種、そして多くの患者さんや家族の目が常にあります。ナースステーション内での人間関係に気を遣うことも多く、気疲れしやすい環境です。
●マルチタスクのプレッシャー: ナースコールが鳴り響く中、急変対応や医師からの指示受け、時間通りの点滴などが重なると、「何か忘れているのではないか」という強い焦燥感や不安に襲われやすくなります。

夜勤明けは、「なにか忘れているのでは」と病院からの電話が来るかもと、そわそわすることも。
それがストレスでした・・・。
🏠 訪問看護
訪問看護は人間関係のドタバタからは解放されますが、そのぶん「他人の家」という緊張感はあります。
●「他人の家」という緊張感: 「ご自宅にお邪魔している立場」になります。
家族の介護へのこだわりや、その家独自のルールに合わせる柔軟性と、信頼関係を築くまに特有の緊張感がありました。
●一人で訪問する責任: 利用者宅にいる間は自分一人のため、利用者のちょっとした変化に対して、「主治医に報告すべきか」「様子を見るべきか」をアセスメントします。

ステーションによっては、スマホから管理者や主治医にすぐ連絡・相談できるバックアップ体制が整っているため、過度に恐れる必要はありませんでした。
「一人だけど一人じゃない」と思える場所だと安心ですね。
⑦やりがい
🏥 病棟:「急性期からの回復」や「無事に退院していく姿」を支える
●状態の変化: 状態が悪かった患者さんが、治療によって回復していく過程に立ち会えるのは大きな喜びです。
●多職種との連携: 医師やリハビリ職など、チーム医療の中心として機能している実感が得られます。
病棟でのやりがいは、「急性期からの回復」や「無事に退院していく姿」が挙げられます。
🏠 訪問看護:その人らしい「生活」と「人生」を知れる喜び
●1対1でじっくり向き合える: ナースコールに追われることなく、目の前の利用者さんのためだけに時間を使えます。
●「家で過ごす」という願いを叶える: 病院では「無理かもしれない」と思われていた在宅での介護が、可能になることも。
利用者さんやご家族から「家に戻れて本当によかった、ありがとう」と直接感謝されたときの感動はやりがいの一つです。
もちろん、訪問看護以外にも在宅を支える職種の皆さまあってのことです。
病院の中だけでは決して見えなかった「その人の本当の暮らし」に深く関われることが嬉しかったです。
⑧病棟が向いている人
- 医療処置が好き
- 急性期が好き
- チーム医療が好き
- 夜勤で稼ぎたい
⑨訪問看護が向いている人
- 利用者とゆっくり関わりたい
- 在宅医療に興味がある
- 車や自転車の運転が苦にならない
⑩私が感じた一番の違い

利用者さんの「普段の生活」をリアルに知ったことでした。
例えば、甘い物好きな糖尿病の利用者さん家のゴミ箱に、プリンの殻があったこと。
本人は良くないとわかっててもどうしてもやめられない。
どのくらいの量で、どんなものならいいかを一緒に考えたり。
自由がある家での生活なので、利用者さんの生活に対する考えや気持ちに合わせて提案することもありました。
病棟ではまず、プリン自体ないので、どんな生活がしたいのか改めて考えました。
見えなかった生活背景、その人らしい生活を支える看護の面白さ、難しさを実感しました。
まとめ
これまでご紹介したように、病棟と訪問看護にはそれぞれの良さや大変さがあり、働き方や求められる役割が大きく異なります。
📌 病棟と訪問看護の大きな違い
病棟は「治療中心」: チーム医療で急性期からの回復や退院を支える、スピード感と達成感のある環境。
訪問看護は「生活中心」: 利用者さんの自宅に赴き、その人らしい暮らしや人生に1対1(ステーションのチームとして)で深く伴走する環境。
どちらが良い・悪いではなく、「看護師として、どんな働き方を大切にしたいか」という価値観によって、向いている場所は大きく変わります。

転職を考えるときは、
基本給だけでなくオンコールの有無やインセンティブ、ステーションの教育体制もしっかり確認するのが失敗しないコツだと思います。
まずは自分の理想のライフスタイルや、やりたい看護を一度整理してみてはいかがでしょうか。
この記事が、あなたの次の一歩を踏み出すきっかけになれば嬉しいです!
よくある質問
訪問看護は楽しいですか?
楽しいと感じる人にはとっても楽しいです。
合わない人にとっては結構しんどいかもしれません。
訪問看護が合わないのか、ステーションの方針が合わないのか、でも変わってくるのでステーション選びを大切にするといいと思います。
未経験でも大丈夫?
教育体制があるステーションなら十分可能でした。
オンコールはありますか?
オンコールは基本あるステーションが多いです。
必須ではない場合も多いので会社に確認するのがいいと思います。
参考資料
- 厚生労働省「保健師助産師看護師法」
- 厚生労働省「介護保険法」
- 厚生労働省「訪問看護の現状と今後の方向性」
- 日本看護協会「訪問看護のアウトカム評価に関する調査研究報告書」
